研究・技術開発紹介

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2021年6月9日

CELBIC(環境配慮型BFコンクリート)-ゼネコン13社で建設材料技術性能証明を取得し、普及展開へ-

CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、建築物の部位・部材や所定の性能に合わせて、セメントの10~70%を高炉スラグ微粉末と置換したコンクリートです。循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的として、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減し、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保した環境配慮型コンクリートです。

環境配慮性について

高炉スラグ微粉末は、製鉄所の高炉における製銑の際に副生されるスラグを微粉砕したもので、水硬性を有しています。高炉スラグ微粉末の製造時に排出される二酸化炭素は、ポルトランドセメントの1/20以下であることから、環境負荷低減のために有効利用が望まれています。
高炉スラグ微粉末は、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)においては、混和材料のひとつとして、セメントに置き換えて使用されるコンクリート材料です。一般的には、あらかじめセメント工場などでポルトランドセメントに所定の分量(40~45%)を混合した高炉セメントB種として流通しています。

特長

CELBICは、使用する高炉スラグ微粉末の量に応じて、A種クラス、B種クラスおよびC種クラスの3種類に分類されます。このうち、A種クラスは普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと、B種クラスは高炉セメントB種と類似した性能を有し、C種クラスでは適用箇所が限定されるものの、60%以上の二酸化炭素の排出量を削減することができます。加えて、これら3種類のCELBICでは同一の高炉スラグ微粉末を用いることから、生コン工場での材料管理の負担軽減も図れ、各種類の特長を生かした建築物への汎用的な適用が期待されます。

    CELBICの種類の呼び名と高炉スラグ微粉末の使用率、二酸化炭素の削減量および適用部位・部材

呼び名 高炉スラグ微粉末の使用率(質量%) 二酸化炭素排出量の削減率(%) 適用部位・部材
A種クラス 10以上30以下 約9~28 地下および地上構造物
B種クラス 30を超え60以下 約18~51
C種クラス 60を超え70以下 約53~63 地下構造物または直接外気と接しない部位・部材
かつ、厚さが200mm以上

 開発実験

開発実験では、国内で主に流通している数種類の高炉スラグ微粉末を用いて、様々な条件におけるコンクリートの強度発現性・耐久性を確認し、高炉スラグ微粉末の使用率に応じた基本性能について検証いたしました。この結果を基に、工場の選定やコンクリートの調合設計の方法を定め、実際の生コン工場においてCELBICの製造および実際の部材を想定した施工検証を行い、CELBICの調合設計・施工マニュアルを整備いたしました。

模擬部材試験体

 開発実験で作製した模擬部材試験体の様子

性能証明

CELBIC研究会※1は、普通ポルトランドセメントに対して10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートとする「CELBIC-環境配慮型BFコンクリート-」について、一般財団法人 日本建築総合試験所より令和2年10月5日付けで、建設材料技術性能証明(GBRC 材料証明 第20-02号)を取得しました。※2
また、CELBIC は、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能であり、CELBIC研究会への参加13社の責任において施工することとなります。

性能証明書

CELBICの建設材料技術性能証明書

今後は、建築物やそれ以外の鉄筋コンクリート構造物に対しても、環境配慮性を有したCELBICを適材適所への有効活用し、普及展開を目指してまいります。

※1 CELBIC研究会:当社のほか、長谷工コーポレーション(幹事)、青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、熊谷組、鴻池組、錢高組、鉄建建設、東急建設、東洋建設、矢作建設工業のゼネコン13社で構成。
※2 評価のためのデータの一部を更新したため、2021年2月22日付けで建設材料技術性能証明(GBRC 材料証明 第20-04号)を再取得

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