研究・技術開発紹介
最新の研究
2018年12月27日
インバートコンクリートの長期養生工法「キュアロード」を開発
~岡三リビック㈱・積水化成品工業㈱・早川ゴム㈱との4社共同開発~
背景
山岳トンネル工事において、切羽作業と並行して切羽後方のインバートを施工するためには、切羽からの掘削ずりの搬出や、資機材の搬入通路を確保する必要があります。このため、インバートを左右に2分割して通路を確保しながら施工する方法、移動式桟橋等を用いて全幅を一括で施工する方法が採用されています。しかしながら、いずれの場合も、インバートコンクリートが坑内通行車両の輪荷重等に耐えられる強度に達した後、十分に養生することなく、掘削ずり等で埋め戻します。 トンネルにおけるインバートは、トンネル構造の安定性を長期にわたって確保するための重要な構造部材の一つです。このため、他のコンクリート構造物同様、保温・湿潤養生を一定期間実施して水和反応を促進させ、十分な強度発現と緻密化を図ることが、トンネルの長期耐久性を確保する上で重要です。
「キュアロード」は、コンクリート平面や傾斜面に対して高い保温・保水性能を有する養生マット「うるおんマット」をコンクリート全面に敷設した後、軽量で耐久性に優れたEPSブロックを仮設路体として養生マットの上に設置します。これによりインバートを左右に分割することなく、切羽作業と並行してインバートコンクリートの長期保温・湿潤養生を行うことが可能となり、強度と表層緻密性の向上が期待できます。
図-1 キュアロード概要図(横断図)
※1EPSブロックは、車両通行帯に限らず、任意の範囲に設置できます。
※2EPSブロックは、任意の数に分割できます。
写真-1 キュアロード設置例
施工手順
① インバートコンクリート打設後、養生マットを人力でコンクリート全面に敷設。
② 養生マットの上に、インバートの形状寸法に合わせて工場でプレカットしたEPSブロックを人力で設置。
③ EPSブロックの保護と輪荷重の分散を図るため、EPSブロック上面に敷鉄板を敷設。
④ 養生完了後、敷鉄板、EPSブロックおよび養生マットを撤去し、次スパンへ転用。
実証実験
施工現場における28日間の長期保温・湿潤養生により、標準施工(気中養生)に比べてインバート部で24%の強度増進が確認され、密実性の指標である透気係数も1/27になりました。
a)圧縮強度比(材齢91日) b)透気係数(材齢91日)
図-2 インバートコンクリートの長期保温・湿潤養生効果(養生期間:28日間)