研究・技術開発紹介

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2018年12月27日

繊維補強カルシア改質土を開発

~沿岸技術研究センターによる港湾関連民間技術の確認審査・評価事業で評価証を取得~

概要

カルシア改質土は、軟弱な浚渫土とカルシア改質材(転炉系製鋼スラグを成分管理・粒度調整した材料)を混合した材料で、強度発現、濁り発生抑制、アルカリ抑制等の特徴があります。航路や泊地の浚渫工事で発生する浚渫土と、鉄鋼の生産過程において副産物として発生する転炉系製鋼スラグを有効活用する技術として、埋立材や浅場・干潟の基盤材、藻場造成材、深掘跡の埋戻し材等に幅広く使用されています。

これに対し、繊維補強カルシア改質土は、カルシア改質土にポリエステルやポリプロピレン製の短繊維を、カルシア改質土の体積の0.1~1%添加混合した材料で(図-1)、これまでとは異なる場所への適用が可能です。

図1

図-1 繊維補強カルシア改質土の材料

繊維補強カルシア改質土の特徴

① カルシア改質土と比較して強度が増加

② 残留強度が増大して靭性が高い材料となる(図-2、3)

③ 適切な配合設定により、一軸圧縮強さqu=100kN/m2以上、透水係数k=1×10-8m/s以下が可能

図2

図-2 破壊後のカルシア改質土と繊維補強カルシア改質土

図3

図-3 カルシア改質土と繊維補強カルシア改質土の応力ひずみ曲線イメージ

適用範囲

① 変形への追随が求められる底面遮水材

② 一定の強度と遮水性が必要な遮水シートの先端部

③ 地盤改良を行わない潜堤のクラック発生を抑制した潜堤材

④ 吸出し防止シートでは破損の危険性がある場所での吸出し防止材等

図4

図-4 繊維補強カルシア改質土の適用例

施工

バックホウやミキサを使用して、浚渫土・カルシア改質材および短繊維を混合した後、グラブやトレミー打設等により海中に投入することを想定しています。短繊維が加わることにより、カルシア改質土よりも流動性が小さくなりますが、実際の施工と同様の機器を使用した実規模の施工性確認実験により、繊維補強カルシア改質土の混合・圧送・打設が可能であることを確認しています。

また、(国研)港湾空港技術研究所との共同研究では、材料特性の確認を行っており、今後、浚渫土や製鋼スラグの有効活用を進める工法として、本工法の社会資本整備への適用を図っていく予定です。

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