研究・技術開発紹介

研究・技術開発紹介

桟橋の残存耐力評価システム

五洋建設では、港湾構造物を安全に使用していくために、経年変化や地震に対する寿命などを評価できるシステムの開発に取り組んでいます。

背景

我が国のインフラ施設は高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されています。港湾構造物を安全に使用するためには、点検・診断結果から適切な補修時期や範囲などを施設管理者が決定し実施しなければなりません。劣化した桟橋を合理的に維持管理していくためには、地震により劣化した桟橋がどのように損傷するのかといった、桟橋の「残存耐力」を評価した上で、補修補強方法を決めることが必要となってきます。

汎用の構造解析プログラムを用いた残存耐力評価手法※1

当社では、劣化した桟橋の構造実験および構造解析を数多く実施してきた知見をもとに、一般定期点検から得られる劣化度判定結果(a~d)を用いて、汎用の構造解析プログラムにより桟橋の残存耐力評価を行う手法を開発しました。これにより、詳細調査や詳細な構造解析を実施することなく、比較的早期に残存耐力評価を行うことが可能となります。

桟橋の構造解析モデル(左)と地震による桟橋の損傷状況(右)

桟橋の構造解析モデル(左)と地震による桟橋の損傷状況(右)

AI技術を用いた残存耐力評価手法※2

さらに、桟橋の劣化度判定結果や、構造解析によって得られる地震時の損傷結果をAIに学習させることで、桟橋の残存耐力評価を行うことができる「耐力AIモデル」を開発しました。耐力AIモデルを使うことで、構造解析を実施する必要がなく、劣化度判定結果から容易に残存耐力を評価することが可能になります。

図2

AIによる損傷結果の出力

 

点検・診断結果から残存耐力評価までを一つのシステムに

点検時の写真やひび割れ状況、診断結果やそれをもとに算定した残存耐力評価など、維持管理に関する様々な結果を取り扱うことのできる「維持管理システム」を構築しました。これにより、施設管理者は点検・診断結果や残存耐力評価をシステム上で容易に確認することができます。

残存耐力評価については、点検時期や地震の発生時期、地震の種類・規模を設定すると、構造安全性の評価、供用可能期間、現状行うべき具体的措置が表示され、さらに立入禁止措置の範囲が表示されます。これにより、地震に対する桟橋の損傷や、あとどれぐらい使えるのかといった桟橋の余寿命が把握でき、さらに現状どの範囲が使えるのかということも確認できるので、どこから補修をすべきなのかを施設管理者が判断しやすく、維持管理計画を立てやすくなります。

想定する地震の種類としては、レベル1地震動とレベル2地震動が選択でき、さらにレベル2地震動では、プレート境界型・内陸直下型が選択できます。これにより、施設管理者は様々な条件下での桟橋の残存耐力を把握することが可能です。

開発者のコメント

老朽化する桟橋が今後増えていく中で、予防保全型の維持管理がより一層重要になります。今後も、効率的な維持管理を進めていくことができるような研究開発を行い、社会に貢献していきたいと考えております。

受賞歴

・第5回ナショナルレジリエンスデザインアワード最優秀賞受賞(※1)
・令和3年度「日本港湾協会論文賞」受賞(※2)

共同開発

本技術は、東京工業大学と五洋建設(株)との共同開発です(※1,2)。

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