研究・技術開発紹介
サンゴ礁州島形成技術
五洋建設では、地球温暖化により水没が危惧される太平洋の島嶼国の国土保全に活用可能なサンゴ礫による州島形成・維持メカニズムの解明とその適用技術の開発に取り組んでいます。
背景
サンゴ礁州島とは、サンゴ礁上にサンゴ礫などが打ち上げられて作られる地形で、インド洋や太平洋島嶼国で多く見られます。サンゴ礁リーフのエッジで強制的に作られる砕波によって乱れを伴う強い流れが発生し、その流れによってサンゴ礫が運搬・堆積することにより形成されます。サンゴ礁州島は台風などの暴浪時に短時間(数時間~数ヶ月)で形成された事例もあり、その形成メカニズムを理解することにより、我が国島嶼部だけに留まらず、地球温暖化による海面上昇によって水没が危惧されている太平洋の島嶼国の国土保全に役立てる新しい生態工学技術として実用化が期待されていました。
サンゴ礁州島形成のイメージ図
モデルとしたサンゴ礁州島「バラス島」
サンゴ礁州島形成を模擬した平面水槽実験
平面水槽を用い、サンゴ礁海域のリーフ地形を模擬した水槽実験を実施しました。その結果、太平洋島嶼国の環礁州島に見られるようなリング状の島が形成・維持される現象を再現するとともに、サンゴ礁州島の形成・維持過程には、サンゴ礁リーフエッジにおける砕波による波高減衰、サンゴ礁リーフの大きさと波長との相対関係、そして島形成による波・流れの遮蔽作用が重要であることが明らかとなりました。
サンゴ州島形成実験
開発者からのコメント
本研究開発により、サンゴ礁州島形成メカニズムが明らかとなりました。今後も、国内外のサンゴ礁海岸や離島保全に役立てるよう研究開発し、国土保全に大きく貢献していきたいと考えています。